「海賊とよばれた男」を読んで
皆様こんにちは。歯科助手の佐藤です。
寒い日が続いておりますが、皆様いかかがお過ごしでしょうか?

今回、百田尚樹さんの「海賊とよばれた男」という本を読ませていただきました。
この本の主人公の国岡鐡造とは、石油販売を主とする会社「国岡商店」の店主であり、戦前戦後を通して活躍された、『出光興産創業者の出光佐三氏』をモデルとされています。
国岡商店は、国岡鐡造が一代で築き上げた石油会社で、「従業員は家族だ」という考えで、従業員を大切にし信頼していたため、タイムカードがなく、就業規則もなく、馘首しない、定年もない、という会社です。
敗戦によって石油を扱えなくなり、資産を全て失い膨大な借金だけが残り、会社の仕事が皆無という状態の中、「うちの店のいちばんの財産は人だ。人こそが資産だ。」と言って1000人いる従業員を、会社側から1人も解雇しなかったそうです。
そして従業員を養っていく為に、個人資産(昔から収集していた骨董品など)を全て投げうってお金にし、全国の従業員の郷里を訪ねお金を配ったり、行けないところには手紙を送ったりもしたそうです。
誰もが真似をしようとして出来る事ではなく、これほどまで懐の深い人はいないと思いました。
そこまで出来るのは、従業員との強い絆と信頼関係、そして従業員を家族のように大切にしているからなのだと思いました。
読めば読むほど、人は生涯これほど苦難に遭遇し、常に厳しい状況に立たされる事ってあるのだろうか?と思うほど国岡商店、国岡鐡造は幾度も窮地に立たされます。
数々の戦争、災害、世界大恐慌、同業他社からの誹謗中傷、官僚からの統制など・・・
それでも、一度も逃げることなく、自らが率先して苦難の先頭に立ち、最後まで徹底的に戦い続ける姿、知恵や力を発揮していくところ、また「黄金の奴隷たる勿れ」と、自分の会社の儲けのためだけではなく、どんな時でも、常に消費者のため、日本の未来の発展のためにと考え、理屈では無理な事を現実にし、正々堂々と信念を貫く姿は素晴らしく「凄い」の一言しか言えません。
この本のタイトルにもなっています「海賊」
なぜ「海賊」呼ばれるようになったのかと言いますと・・・
当時、陸では他の商店の縄張りがあり、自由に油を売れない為、手漕きの伝馬船に乗って、海上で漁船を待ち構えて、漁船で安く油を販売した事で「海賊」と呼ばれるようになったそうです。
「題名のない音楽会」の番組スポンサーを出光興産がおこなわれているのですが、番組の途中でCMが入らないのはご存知でしたか?
出光佐三氏の「芸術に中断は無い」という考えに基づくためだそうです。
私は今まで 出光石油は、ガソリンスタンドの一社としか見ていませんでしたが、こんな凄い歴史があった事に驚きました。
そして、出光石油が日本で唯一の石油元売りの民族会社だという事も知りました。
この本に出会い、出光佐三氏がいかに日本に貢献したのか知る事ができ、そして信じる道を貫く生き方に感動いたしました。
偉大な存在を知る事ができ、また日本の歴史についてもう一度勉強出来た事に感謝したいと思います。
ご興味のある方は是非、読んで頂ければと思います。
歯科助手 佐藤美布子